ホームページ制作 2021年7月30日

今後重要度が増すであろうウェブアクセシビリティについて

近年、ウェブアクセシビリティへの取り組みが公共団体や地方自治体、企業にも求めらるようになり、その重要性は今後も増していくことが予想されます。今回は、ウェブアクセシビリティについて、ウェブに関する知識がない人でもわかりやすく解説させていただきます。

ウェブアクセシビリティとは

アクセシビリティとは一言で言うと「アクセスのしやすさ」のことを言います。
もう少し具体的に言うと、「さまざまな利用者、さまざまなデバイス、どのような環境にいても、利用者が平等にアクセス可能で、全てのコンテンツを快適に利用できる状態」を理想とするものです。

利用者が平等にアクセスできない状態とは

利用者が平等にアクセスできない状態とは、簡単に言うと「見れる人と、見れない人」
「使える人と、使えない人」がいる状態のことを言います。ホームページなどでページを公開したというだけでは、平等にアクセスできる状態とは言えない場合があるのです。

平等に情報にアクセスできない事例

それでは、平等に情報にアクセスできない状態とはどういったものなのか、分かりやすい事例を2つほど紹介します。

事例1:画像を用いて説明をしている場合

サイト上で画像データを用いて内容の説明している場合に、文字読み上げツールなどを使ってサイトにアクセスしている全盲の人は、画像情報を知ることができません。画像を利用する場合は、画像の意味を説明した代替テキストを用意する必要があるのです。

事例2:キーボード操作のみで全ページにアクセスできない場合

手が不自由でマウス操作ができない方もインターネットを利用しています。キーボード操作のみで全てのページ、つまり情報にアクセスできるよう設計する必要があります。

ウェブアクセシビリティに対する取り組みが法律で義務化されている先進国

日本と先進国のウェブアクセシビリティに対する取り組みの差についても触れておきましょう。
先進国と呼ばれる殆どの国では、少なくとも官公庁や自治体などの公的機関では、ウェブアクセシビリティの確保が法律で義務付けられています。カナダのオンタリオ州では従業員50人以上の事業者のサイトに対しては、WCAG2.0(ウェブアクセシビリティに関するガイドライン)レベルAへの準拠を求められています。

急増するウェブアクセシビリティの提訴

そんな中、アメリカではウェブアクセシビリティの問題をめぐる提訴件数が年々増えています。
2015年では年間50件程度の提訴件数に対し、2018年には2,200件を超えた提訴事案があったそうです。Amazon、Netflix、McDonaldなどの大手企業が訴訟を受けており、企業によってはウェブアクセシビリティチームを社内に持つなどして対応を行っています。

最近、多くのメディアで報じられたウェブアクセシビリティに関する提訴事例を2つご紹介します。

ピザの割引クーポーンが利用できなかったとして、ドミノ・ピザ提訴

おいしそうなピザ

アメリカの視覚障害を持つ男性は、PCを使うときにスクリーンリーダーという音声読み上げツールを使って、情報を得ていました。しかし、ドミノ・ピザのウェブアプリで発行されている割引クーポン券がスクリーンリーダーでは、読み取れず、視覚障害者がネットでピザを安く注文できるような対応を取らなかったとして提訴。

ビヨンセの公式ホームページもアクセシビリティをめぐって提訴

ニューヨークに住む全盲の女性は、彼女や視覚障害を持つ何百万人もの人々が、ウェブサイトに完全にアクセスができないと主張しました。ビヨンセのサイトは視覚的なインターフェース(画像)が多いため、オンラインでサービスや商品を購入できないという主張でした。アクセシビリティでは、画像を利用する際は、スクリーンリーダーで代替テキストを読み上げられるようにコーディングする必要があるのですが、それが出来ておらず、情報にアクセスすることができなかったとして提訴しています。

アメリカにはADA法という、障害を持つ人への差別を禁止する法律があり、インターネットのアクセシビリティにも対応が求められています。

ウェブアクセシビリティに対する意識の高まりは日本でも

2018年4月施工の「障害者差別解消法」によりウェブアクセシビリティの確保を求める取り組みが、日本でも始まっています。行政機関や公共団体等では、障害者への合理的配慮は法的義務とされており、民間事業者は努力義務とされています。

ウェブアクセシビリティを確保するために

それではアクセシビリティの確保をするためには、どのように取り組んでいけば良いでしょうか。一番分かりやすいのはウェブアクセシビリティの規格「JIS X 8341-3:2016」に配慮することでしょう。ウェブアクセシビリティの国際規格である、ISO/IEC 40500:2012とWCAG2.0と同じ内容であることから、JIS規格に配慮することは、国際基準のアクセシビリティに対応することになります。

ウェブアクセシビリティは高齢者や障害者のためだけではない

ここまでウェブアクセシビリティについて簡単に解説をしてきましたが、一つ勘違いしてはいけないのは「ウェブアクセシビリティへの対応は高齢者や障害者のためだけの施策ではないということです。」高齢者や障害者を含めたすべての人々が、端末や環境に左右されることなく、平等に情報にアクセスできるようにするためにウェブアクセシビリティに取り組むのです。

ウェブアクセシビリティへの取り組みは、組織の信頼性や透明性を高め、サービスの利用度の増加、最適化によるアクセス数の増加、問い合わせ減少による業務効率化など、さまざまなメリットをもたらします。誰もが平等に情報にアクセスできることが先進国の常識となり、今後、国内でもウェブアクセシビリティへの取り組みの重要性は増していくでしょう。

記事の著者:

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